CIC NOTE

2025/11/07

学びが広げる、景色の解像度
青木 優里香
学びが広げる、景色の解像度

2025. 11-07

青木 優里香

はじめまして。CICデザイナーの青木です。

主に大型立体造形デザインとそこに映像・音響・照明を組み合わせた空間全体の複合演出デザインを担当しています。 携わる分野は幅広いですが、空間デザイナーにとっては、景色の解像度を測る視座が何よりも重要だと、つくづく感じます。

今年の夏、初めて屋台以外でかき氷を食べました。
いわゆる“進化系かき氷”。行列ができるほどのブームと知っていたものの、なかなか機会がなく、今年こそと足を運びました。

運ばれてきたのは想像以上の大きさ。正直、食べきれるのかと一瞬ひるみましたが、口にしてみると甘さは控えめで意外と食べやすい。味に飽きないような工夫も随所に感じられ、ビジュアルのインパクトとあわせて人気の理由がわかる気がしました。

さらに提供されたのは温かいお茶。店内の冷房も効きすぎないように調整されており、商品以外の部分でも計算された心遣いがありました。
かき氷を食べながら、ふと「もし自分がこの店舗をデザインするとしたら……」と想像が広がっていきます。


水族館でも人気のクラゲエリア。私は特にカブトクラゲを見るのが好きです。
ふよふよ、キラキラと漂う不思議な姿。初めて見たときは「なぜこんなにきれいに光っているのか」と不思議で、時間を忘れて見入ってしまいました。

調べてみると、体の表面にある「櫛板」と呼ばれる繊毛を動かして泳ぎ、その櫛板に光が反射することで虹色に輝いて見えるのだそうです。
仕組みを知ると、今度は「なぜこの展示方法なのか?」「光の当て方はどうしているのか?」と展示空間の工夫が気になってきませんか?



ある日ふと「空を飛びたい」と思い、熱気球のフリーフライトを体験しました。
絵本や空想の中のイメージを思い浮かべながら挑んでみると、気球の大きさも、そこから見える景色も想像以上。

気球から見る太陽の存在感、地面に落ちた巨大な気球の影と広がる風景──頭で思い描いていたものでは補いきれない体験でした。
この“想像を超える瞬間”は、自分も誰かに提供していきたいと思わされるものでした。

こうして振り返ると、かき氷もクラゲも熱気球も、最初はただ「美味しい」「きれい」「すごい」で終わっていた体験です。
けれど少し知識を得たり、自分で体験してみたりすると、「なぜ?」「どうやって?」という問いが増えていきます。

学びが景色の“解像度”を広げ、見えていなかった細部を次々と浮かび上がらせていく──それがまた面白いのだと思います。

気になることを見つけて調べるのは、正直ちょっと面倒くさい作業です。けれど、その過程で世界の見え方が少し変わっていくのが面白いところ。そうした変化が、新しいデザインの切り口につながっているように感じます。

これからもさまざまなことに興味を持ち、知識を積み重ねながら、面白いデザインを考えていきたいと思います。