CIC NOTE

2025/02/27

銭湯のお湯に浸かりながら。
磯﨑 隆司
銭湯のお湯に浸かりながら。

2025. 02-27

磯﨑 隆司

いつもの銭湯の、いつもの湯船の、いつもの位置に浸かり、いつもの様に腕時計のタイマーをセットして顔を上げた。すると目の前の壁にいつもと違う張り紙が。

「バーチャル温泉で湯めぐり!」。

コロナ禍にスタートしていた取り組みを改めて体験してみたよ!という趣旨の記事だ。

ふむふむ「自宅のリビングで、兵庫の有馬温泉を楽しむことが出来る…」と。ん?待てよ、温泉の醍醐味は、湯に浸かりながら、情緒を楽しむこと。湯に浸からないで楽しめるものなのか。むしろ、全国の名湯が楽しめると言う入浴剤ならば、自宅のお風呂で温泉が楽しめるのでは?でもそれはバーチャルと言うより、フェイクになるのか?

バーチャルって一体何なんだ?リアルの逆にあるもの?それがバーチャル?それともそれはフェイクなのか?

バーチャル〇〇と言うと、いろいろものを目にするが、五感を刺激することによってつくり上げられた仮想の世界を体験することを指すだろう。そう言った意味で言うと、シルキーなお湯と、浴室を包み込む香り、そして効能によって温泉感を味わうことの出来る入浴剤による体験は、立派なバーチャル温泉なのかもしれない。本物ではないからフェイクではあるけど、お家で体験できると言う本物にはないお手軽さが、なんといっても大きな魅力である。

そんなこと考えてたら、こう思った。リアルの逆はフェイクである。ただ、バーチャルはそのまた対極にあること、あるべきことなのかなと。リアルを越えた超リアル体験がバーチャル〇〇なのかなと。

この間、宇宙から飛び降りるバーチャルバンジージャンプに芸人が挑戦していた。それも面白いけど、もしかすると、リアルのバンジージャンプに磨きをかけてみるなんてこともあるのかなと思った。降下感をもっと感じてもらうために、下からも引っ張るとか、ゴムが切れる効果音を加えてみるとか、一番下で水をかけるとか、取れるかつらをかぶって落ちるとか。。。でもそれは仮想の世界ではない?でも素のままのリアルでもない。うんうん、これもバーチャルバンジーでいいんだ。

まだまだ考えられることはありそうだ。

そんなことを考えていたら、10分間のタイマーが鳴った。