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CIC NOTE
日本でも国際的スポーツイベント等の演出において一気にその知名度を広め、今や大手テーマパークでのイベントや花火大会でも引っ張りだこの「ドローンショー」。
数百機~数千機のフルカラーLEDを搭載した自律飛行型のドローンをコンピュータープログラムによって協調制御して編隊飛行し、搭載したLEDを巧みに制御することで空間に立体的な「光の造形物」や「巨大スクリーン」を瞬時に作り出しています。
これまでは日本国内においては多くても1000機程度だったドローンの機体数も、2024年8月20日に国内大手のドローンショーの企画・運営会社のレッドクリフ社によって3000機のドローンによる壮大な演出の実証実験が成功し、花火を搭載したドローンによる新たな光のショーも行われだしており、まさにドローンショーは花火大会やイルミネーションイベントに加えて、現代における新たな「ナイトタイムエンターテインメント」の1ジャンルになりつつあります。
先に紹介した「ドローンショー」に加え、日本国内では映像制作やテレビ放送における空撮や、過疎地における輸送・流通などへの活用、また農業における活用などドローン(無人航空機)活用が進んでおり、近年の高齢化や人手不足に対する解決策として大いに期待されています。
しかしながら、日本のドローンへの法規制は他の先進国などと比べても非常に厳格で、特に重量100g以上のドローンについては「無人航空機」という法律上の区分が適応され航空法によってその飛行空域や飛行の方法について厳しく規制されています。
100g以下のドローンについては模型航空機や小型無人機と呼ばれ「小型無人機等飛行禁止法」によって国の重要施設上空などでの飛行は制限されているがそれ以外の空域では比較的自由に飛行ができる状態です。
ただし、100g以下のドローンというのは玩具の領域に含まれるようなものが殆どであります。現在空撮やドローンショーに用いられる機体は最低でも1㎏弱程度の重さがあり、農薬散布や流通業務で利用されるドローンの殆どは10kg以上の重さがあり社会的な利活用が見込めるドローンについては殆どが航空法の定める「無人航空機」に該当し飛行について厳しい制限があります。
無人航空機の飛行の許可が必要となる空域(国土交通省WEBサイトより)
国土交通省が示す「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」によると、無人航空機は飛行できる空域とその飛行の方法に制限があり、制限される飛行を行う場合は許可や承認が必要です。(詳しくは国土交通省HPを参照ください)
特に厳しい条件としては飛行空域に示される「人口集中地区の上空」と飛行方法に示される「人または物件との距離を確保できない飛行」です。前者の人口集中地区とは人または家屋の密集している地域で国勢調査にて規定されますが、東京都内は殆どの市区町村が該当し関東近郊でもこの地区以外の地区を探すほうが難しいです。また後者については第三者あるいは第三者の財産から30m以上の距離を確保して飛行せよという意味ですが、これも広大な私有地内での飛行以外は河川上空や海上などしか飛行が出来ないという事になってしまいます。
つまり、ほとんどの空撮やドローンショーなどについては自己判断や飛行空域の個人や法人などの許可を得るだけでは飛行できず、国土交通省への許可や承認の申請が都度必要となります。
また、無人航空機については航空法の規定によって機体と飛行させる者の登録を行うことが義務化されており、さらに自機の情報を常に無線で発信するリモートID機器の搭載も必須となっており、これらを行わずに飛行させると航空法違反となります。
日本国内ではこのような厳しい法規制がある為ドローンを「買ってすぐに飛ばす」ことはできず、ドローンの様々な社会実装においても大きなハードルとなっています。
このように100g以上のドローンを示す「無人航空機」を取り巻く法規制は厳しく、違反した場合の処罰や社会的な影響も大きいため、ドローンショーをはじめ空撮や運送、農業利用などの社会実装においては法令順守が強く求められます。
まず前項で示した飛行空域や飛行方法については航空局に申請を行い、適切な許可承認を得ることで制限をクリアすることが可能です。また、機体や飛行者の登録についてもオンラインから申請可能なので自動車や原付と同じように「買ったら登録」というステップを踏めば大丈夫です。
また、先の航空法改正で「機体認証(型式認証)」を取得した機体を「ライセンス(無人航空機操縦者技能証明)」保有者が操縦する場合は一部の空域や飛行方法については許可承認なしでも飛行できるようになりました。
かくいう筆者も昨年ライセンス(二等無人航空機操縦士)を取得したため型式認証機を使用する場合は一部飛行については許可承認が不要です。(飛行計画提出や飛行記録の保管は必須)
また、ドローンショーや空撮を行う多くの会社にはライセンスホルダーが所属し、法令順守でドローンの運用を行っており、今後もこの流れが広がっていくと思います。
乃村工藝社においてライセンスホルダーが所属する意義としては、実際の遵法運用はもちろんのこと、ドローンショーのような空間演出やコンテンツ作成における空撮などにおいてその企画や設計の段階での法的・物理的な実現性の検討や、遵法運用の為にはどのような計画変更が必要かのコンサルティングを行えることに意義があると考えています。