CIC NOTE

2024/11/18

空間と個人の体験融合を考えるときに
美馬 弘宜
空間と個人の体験融合を考えるときに

2024. 11-18

美馬 弘宜

CICの美馬です。普段はデジタルコンテンツを主軸とした企画・制作を行っています。

タイトルについて今回整理をしてみました。

わたしの実績となりますが浜松科学館リニューアル(2019年)では、スマホアプリを活用した科学館展示の体験ログを取得。さらにIBM Watsonとチャット対話しながら科学学習を促すコンテンツを制作しました。

浜松科学館リニューアル

また、日本科学未来館、常設展示「ナナイロクエスト」(2023年公開)では、専用タブレットを使って未来のまちを再現した展示空間で起こったトラブルを解決するなかで、人とロボットとのさまざまな関係性に向き合うという体験型展示を制作しました。

日本科学未来館、常設展示「ナナイロクエスト」

これらは、個人の展示体験ログをデバイス活用によって連携する実績になります。いずれもログを取得する際は、スマホ・タブレットを使うものですが、NFCカードやRFIDバンド、QRコードなどでも事例はあります。

また、空間体験と個人体験の融合事例は科学館だけではなく、テーマパークや企業ミュージアムのスタンダードになりつつあります。

そこで、空間体験と個人体験の融合について、現状の考えられる手法とそれぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。

  デバイス メリット デメリット
RFIDリストバンド/NFCカード
・リストバンドやカードをかざすだけで体験が成立するため、年齢、国籍問わず直感的に体験が可能 ・配られたリストバンドが独自のお土産体験グッズとして機能する ・リストバンドへの追加コストなど、使いまわし含めた運用の検討が必要 ・ユーザーの再来訪時の対策が必要
紙印刷QRコード
・紙チケットに印字するので、コストが割安で手軽 ・年齢、国籍問わず体験が可能 ・毎度紙を出す必要がある ・体験中の紛失の可能性が高い
アプリ
・アプリ内での体験となるため、再来訪時に人物の判定が容易 ・QRやNFCとの組み合わせの選択肢としてあり、ARなど拡張機能も追加できる ・ユーザーのダウンロードの手間がかかる ・スマホを持たない老人・小学生の体験方法検討が必要 ・機種によっては対応できない場合がある(海外からの来館者など)

上記を基本の分け方として

・どんな機能を入れるのか?

・使う側の利便性を考えるどうか?

・ランニングコスト踏まえた投資回収ができるのか?

などを議論して手法の設定に至ると考えます。皆さんのご参考になればと思います。