CIC NOTE

2025/11/11

錯覚という演出
長尾 成生
錯覚という演出

2025. 11-11

長尾 成生

初めまして、大阪CICのテクニカルディレクション部所属、長尾です。

先日、家族で旅行に出かけた際、小さな遊園地を訪れました。
その遊園地は昭和の雰囲気が漂い、どこか懐かしさを感じ、幼少期の気持ちを思い出しました。

どこかと繋がって知らない人の声が…

印象に残ったのが「だまし絵」の展示です。
人の目の錯覚を利用して、立体的に見えたり、見る角度によってまったく違うものに見えたりする不思議な絵に、改めて興味を惹かれました。

永遠に転がり続けるボール

子どもの頃は、何も考えずにその不思議さをただ楽しんでいましたが、大人になった今では「脳では理解しているのに、視覚に頼ると錯覚してしまう」という不思議な感覚を、どこか納得しきれないまま楽しんでいる自分に気づきました。

目の錯覚について調べてみると、心理学や神経科学などさまざまな分野で扱われており、錯覚にも多くの種類があることがわかります。

穴から覗いてみると馬が走り出す

少し難しい内容も多いですが、興味のある方はぜひご自身で調べてみてください。

錯覚を利用した展示は多くありますが、その中でも昔からある「ファンタビュー(呼び名はさまざまで、“マジックビジョン”や、“ペッパーズ・ゴースト”と呼ばれることもあります)」という演出手法が、以前担当した万博の案件でも話題に上がりました。

舞台上に幽霊(虚像)が現れる

ミラーの反射を利用して虚像を空間に映し出すこの技法は、造形と組み合わせることで非常に効果的な演出になります。何十年も経った施設でも今なお使われており、その魅力は衰えていません。

このような古典的な手法であっても、アイデア次第で十分に魅力的な演出が可能だと感じます。
技術は日々めまぐるしく進化していますが、「見る」だけでなく「錯覚を体験する」ことで人の心に残る演出を、これからも取り入れていきたいと思います。