CIC NOTE

2025/06/02

舞台空間を映像で彩る
矢澤 優美香
舞台空間を映像で彩る

2025. 06-02

矢澤 優美香

CICの矢澤と申します。
2025年に中途入社する前は、舞台に関わる仕事をしていました。
その時の経験を活かし、舞台における効果的な映像演出 について少しお話しできたらと思います。

 

皆さん、舞台は観に行きますか?

  

ミュージカルをメインでやっている劇場 がある一方で、ストレートプレイを生業にしている劇団もあり、世の中には様々なジャンルの舞台がありますね。
最近は伝統的な舞台芸術だけでなく、最新技術を駆使した演出でも観客を魅了しています。
特に映像を使った演出は、どのような規模感の舞台でも当たり前のように見かけられます!

しかし、ただ映像を投影するだけでは面白いものになりません。
レーザーや音響、役者など様々な要素をうまく掛け合わせたり、前後の文脈の中で要素を差し引きすることで、上質なエンタメ体験を創り出すことができると考えています。
つまり、いかに視覚や聴覚の工夫をして世界観に没入させる=演出できるかがポイントになると思うのです。(場合によっては嗅覚・味覚・触覚もありますが)

 

2次元を3次元化する

最近は漫画やアニメなどの原作から舞台化する作品が増えていますが、2次元の世界を3次元化する上で、映像は大いに 活躍します。
作品の世界観や役者が演じるキャラクターの特殊能力など、2次元でしか繰り広げられてこなかった表現を3次元的に表現できたり、よりリアリティを持たせることができるということです。

例えばサイバーパンクがテーマの舞台では、以下のような演出が考えられます。

① レーザー×音響×映像の仕掛け
…非日常空間、サイバーな世界観に入り込んでいくような演出ができます。

  

② シースルースクリーン[紗幕]×音響×映像の仕掛け
…スモークと合わせて奥行き感を出したり、キャラクターが実在する世界線に意識を持っていくことができます。
他にもLEDパーテーションやアクションカメラなど使用したり、様々な映像演出の手法はありますね。

  

③ 照明の仕掛け(映像を使わず、場面ごとの緩急をつける仕掛け)
…映像ベースで賑やかに進んでいく作品は、あえてピンスポなど照明で見せるシーンを作り緩急をつけることで、一気に物語に集中することができます。(エフェクトライトとスモークを使ったキラキラした表現など)
ここまでにキャラクターに感情移入できているとより効果的ですよね。
ピンスポに照らされた役者の芝居と歌には、心にぐっとくるものがあります…。

 

終わりに

ここに挙げた仕掛けはごく一部でしかないですが、ストーリーの組み立て方、全体の演出のさじ加減で舞台を観終わったときの体感も大きく変わってくるのではないでしょうか。
様々な舞台を観ていて思うのは、今も昔も変わらず、感動するのは手法だけではなく、演出が素晴らしいからということです。

例えば、作品やキャラクターの深みを出し切れているか 、どこで映像やレーザーを使うのが効果的か、映像が続いて 疲れたり慣れて飽きてしまわないか、など色んな視点から空間を彩っていくことで、観客が世界観に没入できる舞台体験をつくれると思うのです。

今後も前職の経験を活かし、CICの一員として「歓びと感動」を与えられる空間づくりや映像演出づくりに日々精進してまいります。